東神楽 義経公園(役場前)会場

作品名:「さんかくによる さんかくのための、向こう側のこっち側」

作家:伊知地亮子

ぼくは
どうにも説明のしようがない「雪原」に立っていた。

眼前に広がる「それ」は
雪に形を与えていた。
あるいは雪に形を与えられていた。
魂として存在することを強いられた雪たちには
無数の白く細い線が
執拗なまでに食い込み、交わっていた。

ぼくはその存在意義どころか実態するつかめないまま
「それ」に近づくことにした。
ぼくが白い線だと思ったものは
つまるところ「白い縄」だった。
一見複雑なようで、実は規則的に配置された「縄」たちは 「それ」に新たな秩序を与えようとしているように見えた。
その秩序とは、強引さと優しさと、控えめな欲望で構成されたシステムであった。

辺りには相変わらず雪が降り続いていた。
いつものように断りもなく降り続いていた。
ふと空を見上げたとき
銀世界の空間に幾重にも重なる「縄」に
雪の粒がさらなる重なりを加える「一瞬」がぼくを捉えた。
そして、ぼくは雪の結晶のごときミクロの世界に旅立つことを強いられた・・・。

どれだけの時間がたったのかは全く定かではなかった。
ぼくは純粋なにぎやかさによって憂鬱さとは無関係の目覚めを享受していた。
ぼくの周りでは
あまねく子どもの数々がその無邪気さを惜しげもなく解放していた。
彼らの一部が平面的に見えることに違和感を覚えたが
面倒くさいのであまり気にしないことにした。

ぼくの目覚めは
いつも面倒くさいのだ。

JR旭川駅から車で25分 会場まで13km

会場 周辺施設

周辺施設

  • 東神楽町役場
    〒071-1592 北海道東神楽町南1条西1丁目3-2
住所
東神楽町南1条東1丁目
開催日
2012年2月11日(土)・12日(日)
時間
午後5時~午後8時
内容
甘酒・インスタントココア【無料】
 たこやき・やきとり・ビール・燗酒など【販売】

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